古田日出夫

(1949ー2007)

●2005年10月17日〜11月16日

『舞い上がる立体』開館記念モニュメント


広島出身。1985年、ウェールズでのパブリックコンペティションに優勝し渡英、2007年11月に亡くなるまでの22年間、英国で制作した公共のための彫刻は27点にものぼる。2001年にはジャパン・フェスティヴァルの一環として‘Juxtaposition’がロンドンのリージェントパークに展示された。ひしお中庭に立つ「舞い上がる立体」は2005年、ひしおアーチスト・イン・レジデンスとして滞在中に制作したもので、彼の日本での公共彫刻はこの一点だけである。

古田は数学者でもあり、現代音楽にも通じており、彼の力強くエレガントな作品とその配置などに,その影響がみられる。1992年には栄誉あるヘンリー・モァ・フェローシップ(1992-4)を授与され、ノーサンブリア大学のアーチスト・イン・レジデンスとなる。滞在中「音楽と視覚芸術の考察」というセミナーを週一回おこない、エディンバラ大学や、ノルウェーのトロンダイム大学でも同じような講義をおこなった。

1990年からはスコットランドのクリータウンにある石切り場の傍に住居を構え、小学校でのワークショプを定期的におこなったり、村の広場の改築事業のリーダーとなり、村の暮らしをレリーフで表した大きな球を制作した。コミュニティーの一員として人々から人望を得た彼は、2007年11月には「クリータウン名誉市民権」を与えられた。

彼は石彫家であったが、版画とデッサン/ドローイングの優れた作家でもあった。2008年3月にスコットランド、10月にウェールズで開かれた回顧展では約40点の作品が少数の石彫作品とともに展示された。会場は「大きな石に挑む若き彫刻家として逝った」古田氏の芸術とヒューマニティーを讃える人々であふれた。

‘Moving Mountains’は1997年スコットランドのボーダーTV による30分のドキュメタリーであり、翌年にはITVで全国ネットで放映された。

●ひしおコレクション
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追悼記事:
http://news.scotsman.com/obituaries/Hideo-Furuta.3602257.jp
http://www.theherald.co.uk/features/obituaries/display.var.1971388.0.hideo_furuta.php